時を経て、受け継がれる仏道

仏教には「慈悲」という教えがあります。「慈」は、人を安心させる優しさ、安心できる場所。「悲」は、相手の心に寄り添い、一緒に泣き、共に悩んであげること。
このように、困ったときや辛いときに一緒に悩み、共感し、助ける心が「慈悲」。私はこの「慈悲」の心を大切にし、辛い気持ちを抱えた方々に寄り添いたいと考えています。かつて、お寺は子どもたちの遊び場や、学びの場でもあり、老若男女が集う交流の場でもありました。また、“駆け込み寺”という言葉があるように「困ったときはお寺に行けば守ってくれる」といった人々の心の強い支えであり、救いの場でもあったのです。しかし歳月が流れ時代は大きく変わり、昨今は「お寺=供養=故人」とイメージされる方が多いと感じております。
私は世楽院が「人々を元気にし、安心できる場所」という、お寺の本来あるべき姿を取り戻していくために、故人を偲び供養することはもちろん、学びや行事を通じて現代を生きる人々が集い、仏教の豊かな智慧に触れ、つらい時や悲しい時は心穏やかに、物事に迷った時や悩んだときは道標を見つけて頂けるようなお寺でありたいと願っています。
世楽院はこの地に根付いて400年以上。
歴史の中でたくさんのご縁を繋ぎ、今日があります。先人たちが遺した良き習わしは継承し、悪しき習わしは改革し地域発展に努めることがこれからの世楽院の役割であると考え、日々精進してまいります。

住職紹介

曹洞宗 華嶽山 世楽院 住職

西塚 良光

 
一九六〇年(昭和三十五年)生まれ。
駒澤大学仏教学部禅学科卒業。神奈川県横浜市にある曹洞宗 大本山總持寺安居。
二〇一四年四月より、世楽院第三十六世住職。